ご挨拶

第3フェーズ開始によせて

私がエジプトに憧れてから、はや70年が経とうとしています。そしてエジプトに初めて行ってからも50年以上経っています。初めてエジプトへ行った年1966年の9月、初めてギザの大ピラミッドを見た日、その脇に船の形をした建物を見た日、そこの係の人が「ここは空飛ぶ船の博物館ですよ」と言ったのを昨日のように覚えています。内心、「うそこけこのエジプト人め。」と思った瞬間、「いやそうじゃない、古代エジプト人って何するか、何を思うかわからないぞ。だって、日本の漫画家で「宇宙戦艦ヤマト」という物語を描いている人がいるんだもの。」と思い返したのです。「この船の名は「太陽の船」というのです。素敵でしょう。太陽神ラーがお乗りになって、天空を舞うんです。」その人は目をつぶって語ってくれたのです。自分があたかもこの船の船長のようです。その時、船が見つかったピットが2mほど北側にある大ピラミッドの東側によっていたのが気になりましたが、ちょっとした設計か施工ミスぐらいに思っていました。その後、カイロ大学の歴史・地理学部に留学して、教授に「この船はもう1隻あるかもしれません」と聞いてから、本格的に説明を聞き、私は2隻説を採るようになりました。それから30年あまりして第2の船を発見することができて、エジプト考古学者になって本当に良かったと思っています。2020年の3月、発掘と修復が終わり、あとは10年かけて復原するのです。何とか後10年頑張って生きぬいて、もとの船の姿を見るまで頑張らなけりゃならないと思っています。太陽の船の謎を解けば、ピラミッドの謎が解けると確信して、日々頑張っていきたいと思います。

NPO法人太陽の船復原研究所所長/東日本国際大学総長・教授

吉村作治